20170620

 商売の言葉には「三方良し」とか「ウインウイン」とか自分も他人も成功することを良いことというようにする考え方が多いです。ようは商売というのは相手を得させて自分も特を得るというのが鉄則ということです。

 働いていればそんなことは当たり前のように叩き込まれるものです。

 ところが何故か私生活範囲ではこの考え方が軽視されたり、忘れられてしまったりします。


■公私を分けようが相手の得を考えること

 公私混同は良くないとされますが、公私を分けたことで「公」の部分に人間の基本的な礼節の意識まで置いてきてしまうような人々もたまに見受けられます(そういう人が公で素晴らしい人かといえば、ウーンである可能性は高い)


■むしろ「私」の時こそ、他人の得を考えている方が良い

 私事の時間は自由だから、疲れている時に何故仕事のウインウインを考えなきゃいけないんだと、苛立つのもわからなくはないのですが(私がまさに昔そうだった)。それに私生活のときに横柄な態度を店員などにとる人なども見かけますが。

 しかし私生活こそ、他人の得を考えないといけない。自分が得したいなら、気持ちよくなりたいなら、仕事のストレスを発散したいなら。私生活を彩り豊かなものにする必要があります。

 他人が自分に対して得をもたらすことが人生を楽しいものへ変化させます。


■人生も物事も行き詰まる原因は「何事もまず自分の得」から考えるようになった時

 辛い時、苦しい時、そこから人は逃れたいから他人を蹴落としてでも自分の得を優先してまず這い上がろうとする。それは生きる本能としては正しいし、否定すべきことじゃないです。本人にとって緊急事態のはずなのですから。

 ところが常時それではやはりうまくいきません。何かを得たければまず与えるところからはじめなければなりません。平時にあっては、自分の得優先の考え方はどんどん自分の足をひっぱっていきます。

 どう引っ張られるかというと、自分ばかり得しようとするあまりに周りがブレーキをかけるわけです。しかしこれがまた皮肉なことに当人は周りが自分を損させようとしているに違いないと錯覚するわけです。

 周りが足をひっぱるのは、自分だけが得しようとする自分の考え方にあるのです。


■商売によくある失敗例「開発者が作りたいものを作る」

 商売として良く聞くのは「お客さんがほしいもの」じゃなくて「自分がほしいもの」を作るという失敗例です。本当によくあるのが「自分がほしいと思っているからお客さんのほしいはず」というもの。

 自分が幅広い購買層の感性と圧倒的なセンスを持ち合わせていると信じているのならそれはかまいませんが(実際そうした天才は居る)殆どの人は、自分の器以上の許容量は持ち合わせていません。

 開発者が自分の器の中で自分がほしいものを作って、お客さんのことを見ずに失敗するプロダクトは非常に多いです。

 プロダクトに行き詰まりを感じたら、ユーザーの目線を忘れていないかを一度立ち止まって考えてみるのが良いです。


■贈り物の失敗例「自分がウケると思ったものを送る」

 仕事ではなく私生活であればよくあるのは「贈り物の失敗」。私も以前記事にしました。

贈り物選びのセンスが無い人の特徴

 贈り物も「自分だったらもらって嬉しい」とか「絶対自分だったら面白がる」みたいな「自分」基準だと失敗します。これも相手が喜ぶこと、相手の得を考えないが故に起こる失敗です。


■相手の得が軸になれば自然と物事は好転する

 なんで自分が苦しいのに相手の得なんか考えなきゃだめなんだと思ってましたけど、それでも相手の得からしっかり考えることが出来れば、周りは助けてくれるようになる。

 急いで助かりたいなら、自分からまず差し出すしかない。こんな単純なことに気づくのに私は何十年もかかってしまいました…トホホ。


■余談:面接も「企業の得」が問われる場

 いずれ詳しく面接ネタは書きたいと思いますが、面接で自己表現を磨いても磨いても受からないという人の話を聞くと、思うのですが。

 面接というのは企業にとって自分がどうプラスを生む存在になるかをアピールする場であって、自己PRを磨くというのは微妙にズレることなのであります。


■おわりに あくまでウインウインであり、自分が負けるのもまた違う

 相手に得ばかりさせて自分が損をする、というのもまた違います。それはただの奉仕。これがまた難しい話ではあります。別に見返りを求めてはダメというはないではありません。

 でも自分がウィンを望むからこそ相手の得も真剣に考える。勝ちすぎず、負けすぎず、落とし所を見つける。こうしてなんだかんだと良い関係が続くものなのであります。

人を動かす 新装版
デール カーネギー
創元社
1999-10-31