Twitterでは既に報告したのですが、私今月で離職し無職となりました。実に11年会社員生活を続け、立場的にも役員の次の場所におりました。ただその役員の次のポジションは歴戦の猛者がウヨウヨしていたから、私なんかは雛鳥だったわけですが。

そんなわけで社会人もたくさん続けたし、その中で特に新社会人に向けて気づいたことをつらつらーと。



■案外みんな適当 上司も会社も案外適当

 社会人になって私はくそ真面目マンだったから、気づくのに時間がかかってしまったのですが。会社の人というのは上司も同僚もみんなある程度適当に生きている。指示も適当だし、組織自体も適当だし。

 案外と全体的に「適当」がまかり通ってる。これは悪い意味ではなく、抜くところは抜く、というのがしっかりと徹底されているということです。適度にやる。だから1から10まで全部完璧にやる、というわけではない。私の体感としては3割真面目で7割適当、というイメージ。

 ただしそれを本当に適当にちゃらんぽらんやってないように見せる技術を社会経験の長い人は身につけている。だから一見すると適当には見えない。でも皆適当にやって、少しずつガスを抜いたりしている。

■案外みんな子供

 あと割と上司なんかが「学生気分だと困るんだよ」みたいなことを言うような現場があったりする。でも実際蓋を開けてみると皆わりと子供だ。見た目を取り繕うのがうまくなったり、実際の見た目に年季が入ったりすることで「大人っぽさ」みたいなのは身につくけど。

 でも意外と子供だったりする。子供のまま年齢を重ねたりする。いくつになっても幼稚な部分もあるし、子供っぽい理由で怒ったり悲しんだりする。社会人になるとポーカーフェイスなどは身につくけど、じゃあ身も心もすべて大人になるかというとそんなわけでもない。

 誰しも心に少年少女の部分は残す。フィクション作品のように擦れきった落ち着いた大人なんてそうそう居ない。だから大人になりきれないことを焦る必要はない、と思う。でも装いを大人っぽくすることは鍛錬で出来るから、やったほうが良いと思う。

■真面目で責任感のある人ほど潰れる ダシにされる(ただし好かれやすい)

 社会人になると、まともな考えでどんなことにも真面目で…という人ほど、ダシにされたり潰れやすかったりする。先述した「適当さ」を手に入れられないままだと、自分の真面目さに自分自身が潰される。

 真面目さはもちろん大事だけど、「抜く」ことも自分で管理してあげないと、えらい目に遭う。具体的には責任感から自分一人で抱え込んでチーム連携を疎かにして、真面目にやっているのに結果的に自分のせいでチームが円滑に機能しない、なんてことが起こってしまったりする。

 そうした真面目さを人は単に不器用、と言ったりする。もっと言うと「仕事できないやつ」とか「融通の効かないやつ」と言ったりする。適当さを手に入れられないただの実直さというのは、あまり良い印象を持たれない。という経験則が自分には身についた。

 ただ、表裏がないということから人に好かれやすくはある。仕事は出来ないけどもその誠実さから結局仕事を引っ張ってこれる、みたいなこともあったりする。なので良し悪しでもある。意識して使い分けると強い。ただただ真面目さだけをウリにするというのは、あまり武器にはならない、と感じた。


■見た目で判断されることが増える

 社会人は学生時代以上に、見た目を重視される。一期一会の機会が多いため、一度目の印象などを特に大事にする。一度目の印象を良くしたり、印象的にするなど演出できる人は、強い。

 逆に「人は見た目じゃない」と思っている人は、残念ながら損をしやすい。見た目のせいだけで仕事をとれなかったり、相手の印象を固定化してしまったせいで円滑に話が進まなかったり。

 たかが見た目、されど見た目。社会人になると学生時代よりも遥かに広い世界での人間関係を限られた人生の時間で取捨選択することになる。そうした時に、見た目から相手に気持ちよく思われるようにしよう、など意識しているかどうか。たったそれだけの事で数多くの選択肢を手に入れたり失ったりする。

見た目はとにかく気にかけるべき、と思います。


■大体の職場で嫌な奴、変なやつは必ずいる

 万人が仲良くというのはありえなく。合う合わないは当然ある。そして合う合わない以上に、「合わせる気がない」とか「気に食わない」とかで揉めるような相手は出てくる。自分から見て「嫌な奴」「変なやつ」というのは職場に必ず発生する。

 これはもう人と人が集まる場所である以上は仕方ない。組織とはそういう構造だ、くらいに思っておくとむしろ良い。嫌なやつや合わないやつを排除することは難しい。何故かと言うと。

■それぞれの人に役割があり、尊敬すべきところ、見習うところはある

 つまり組織はそれぞれの短所を長所で補うことで大きな存在になっている。綺麗ごとではあるけど、それぞれの人の短所よりも長所を見つけて利用するくらいの考えで居ると、楽。一人で抱え込む人は物理的・精神的に死ぬ。

 貴方にとって嫌な相手は、誰かにとっては必要な能力を持っていたりする。すごく酷い話をすれば、全員に嫌われるような人間もそれは組織にとって「必要悪」とか「スケープゴート」になったりする。

 自分が見ていない角度の価値観というのをたくさん見つける、多方面から価値を見直す力というのが社会人として身につくと生きやすい。


■必要なのは寛容さと割り切りと適度な欲

 そうは言っても我慢出来ないことは我慢出来ない。なんせ仕事にバリバリ私情を混ぜてくる人も居る。仕事よりも私情優先みたいなバランスの人も居る。仕方ない、それも人間。

 それをいちいち突っぱねるのではなく、寛容さと割り切り(諦め)と、何より適度な欲があるといい。欲が人間を適度に動かす。もっと良い生活をする、もっと早く仕事を終らせる、もっと新しいことに挑戦する、もっと人に好かれる。そんな適度な欲を持つことが大事。


■100点満点狙いより70点代を出し続ける重要さ

 100点を目指すのは非常に難しいし、疲れるし時間がかかる。だけどほとんどすべての仕事はむしろ70点が好ましい。70点を出来るだけ早く作り上げることが好ましい。

 自然界の法則的なものであったりもする。とにかく70点をいかに早く安定して毎回作り上げるのか。これが求められる。100点を毎回取るのはしんどい。

 しかも100点を自分の平均値とすると、それをテンションによって下回るようなことがあればそれは「ピーキー」という扱いになる。ムラが大きいということになる。ムラが大きい人は扱いにくい。

 それにムラのある自分を使いこなすというのが何よりしんどい。だから100点じゃなく、70点を安定的にとることを目指す。人生は長距離走であり短距離走ではない。長く走る秘訣は当然「全力で走り続けないこと」になる。


■早さが命

 何はなくとも社会人は「早さ」をいかにして手に入れるかの投資が出来るかにかかっているといっても過言ではないと思います。電話対応でも学習でも出世でも起業でもなんでも。

 私達人類の歴史が既に「もっと早く」を追求してきています。ずっしり腰を据えて頑張る、という人は大抵腰を据えたままその場から動けなくなり、動けない理由を作り、消えていきます。

 また早さにより時間を意識する人は、結果的に相手の時間も考慮できるようになっていきます。遅い人は「早い人」の考え方についていけない。早い人の時間を奪うという意識などが持てない。

 やはり1にも2にも「早さ」をどこまで真剣に考えられるのか。これが社会人的には必要だと思われます。


■出世は実力半分タイミング(運)半分

 努力は必ず実るとは限らないものの、成功している人で「努力をしていない」という人は居ないと思います。でも、社会人の成功というのは多分に複雑な運要素が交わります。

 実力は必要だけど、運も必要。じゃあ運というのはどうやって手に入れるのか。私が耳にしてきた中で最も正しいなというのは「運は他人について回る」です。だから実力を磨きつつ、人との縁を大事にする人には多くの運が回ってくる。そんな風に思うことが本当に最近は多いです。

 そんで出世と運もやはり切って切れない関係にあります。実力をいくら磨いても出世できないとしても嘆く必要は無いと思います。単に今は運が巡ってきてないだけだと割り切るのもまた大切。

 中には他人を意図的に失脚させて席を奪う、みたいなやりかたもありますけどもね。 

■会社の景気も社会も世の中もタイミング

  先述内容と紐付けますが、会社全体の景気や、世の中の景気もタイミングです。何をやってもうまくいかない時というのは本当にあります。これもある意味自然の摂理だなぁと受け止めてしまうのが良いと思います。

 決して自分の責任だとか落ち込みすぎないように。世の中は本当におもったよりタイミングで動いている。 


■上司は選べないけど、選んだ方が良い

 会社に所属すると必ず上司が出来ます。上司は選べません。でも選んだ方が良い。上司というのはこれから自分の社会人のスタイルを決める存在です。否が応でも自分のメンターとしての機能を果たす人です。

 上司がそれに値しなかった場合、自分の人生がその上司に巻き込まれます。だから、上司は選ばないといけません。言い換えると自分の人生のメンターは絶対に選ばなければなりません。

 上司がそれに値しない尊敬出来ないと思ったら、代わりの人を見つける努力は惜しんではならないと思います。とにかく上司(メンター)選びは慎重に。

 人によって基準は違うと思いますが「自分の将来像になりそうな人 目指したいと思える人」を見つけられるのが一番良いと思います。


■金を握ってる人、金を稼ぐ人を大切に

 社会人になるととにかく純粋に物入りになる機会は増えてきます。「お金じゃないよ」なんてきれいごともあったりしますし、私もそれは完全否定ではありません。そのうえで、お金を自分にくれる人。お金を握っている人。これを大切にするというのは必要です。

 お給料くれる人、お金の知識をしっかり教えてくれる人、お金を管理してくれる人。自分がお金にルーズならその分をサポートしてくれる人。それらの人は大事にしておくのが良いです。  
 

■組織を停滞・衰退させる病気がある

「これでいい」「今のままでいい」「昔は良かった」

 組織が積極性を失うマジックワード。この雰囲気が社内に蔓延すると、それを正しいという空気が発生すると、大体落ち目が始まる。この風潮が表れているようだったら、早めの転職などを考えておくと良い。


■本当に悪い人も居るには居る

 社会に出ても、純然たる悪意というのは存在する。学生時代よりもはるかに強大な悪意が存在する。他人を押しのけて叩き潰して自分だけが生き残ろうとする人も居る。すべての責任を他人になすりつけたうえで「お前のせいだ」と素で開き直る悪魔のような人も居る。そうやって他人の生き血を吸いながら生きるような人も居る。

 そういう純然たる悪意に立ち向かう反発心や自衛能力は持っている必要がある。社会は残酷で当たり前なのだと受け入れ、だから他人を大事にし、自分を大事にする。

 ともかく、人の悪意に敏感であること。悪意には牙を剥くこと。歯向かう事。上品に受け流すこと。これらが必須である。悪意をまともに受け止めてはいけない。


■とにかく社外の人に合う機会を持っておくと良い 会うための武器を作っておくと良い

 社会人になりどこかの企業に所属すると、その企業の名刺がついてまわる。貴方は○○社の△△さん、となり、半個人半組織人として認識される。

 しかし組織の「私」ではない、別の私を育てておくことが必要。会社の名刺に頼らない自分を作っておくことは、本当に必要。

 そのためにも、○○社ではない私を創るために、武器となる技術や専門知識などは手に入れておくと人生が何かと捗る。営業術でも交渉術でも人間力でもデザイン能力でもなんでも。

 公人としての自分以外のスペアとしての自分を用意しておくことで、人生のリスク分散が出来る。


■社会人からの勉強がものを言う

 社会人になってからが勉強の本番です。無知ゆえに損することもあるし、勉強しているからこそ更なる早さを手に入れたり、勉強しているコミュニティに所属して更に学ぶことができたり。

 学生時代の勉強は点数重視だったけど、社会に出てからの勉強は「いかに自分の人生に選択肢をもたらすか」につながってきます。遊びながら営業力などを勉強する人も居るし、遊びで感性を磨く人もいれば、しっかりとした勉強から自分の幅を広げたりなども。

 いわば学生時代の勉強って「これから社会に出て学習する地盤づくり」をしていたわけですね。知識の吸収方法、知識の探し方、教わり方、アウトプットの仕方、などなど。 

 少なくとも周りが遊んでいる時に勉強していた人は結局なんだかんだその後の人生で花開いていたりします。トータルで見て「学び続ける」人は、超大成功するかどうかは置いといても、イメージとしてはより良い生活やら転職先やら諸々手にしているという印象です。

 社会に出てからの勉強は「運」に振り回される率を下げながらも、「運」を手にするために必要不可欠なことだったりします。勉強大事。 


■まぁ適当に。

 なんていうようにくどくど書いてきたけど、全部わかった上で適当にやるのが良いと思います。結果的には「適当」をどこまで自分のバランスとしてモノにできるかが社会人としてこれから長い人生を走る上で、大切なことなのじゃないかなと思います。

 これからの新社会生活、存分に楽しみましょー。
 
入社1年目の教科書
岩瀬 大輔
ダイヤモンド社
2011-05-20