誰にでも等しく訪れる…とは限らないけども、少しでも創作事なりなんなりを行う人にとってはある日唐突訪れるのがスランプです。ある日「今あんたの家の前にいるよー」と、突然やってくる実家の親みたいな存在。突然やってくるくせにお帰り願うのが困難な存在。

 そのスランプの訪れにどう対処すべきなのか。スランプの原因は何なのか。思っていることをつらつらと。



■スランプとは何か

 いわゆる高原現象と呼ばれるものらしく、学習や技能習得中に一時的にその効果がみられなくなる状態のことを指すそうです。スポーツでもなんでも、継続的に行う事柄についての伸び幅が無くなる時期の事、といえばいいのでしょうか。


■スランプと完璧癖の関係性

 スランプを抱えやすい人の特徴に、完璧癖があるのだとされています。何かしらのこだわりからどうしても完成にまで至らず、完成しないから結果が目に見えず思い悩む。自分の中にある完璧のイメージが強いほどにスランプ時の悩みは大きくなっていきます。


■「完璧を目指すよりまず終わらせろ」

 かのFacebook創設者ザッカーバーグの至言としてよく使われるのが「完璧を目指すよりまず終わらせろ」という言葉。スランプ時にこそ心がけておくと良い考え方です。


■完璧癖は武器

 とはいえ完璧癖は武器です。否定するものでもなく、受け止めるのが望ましいです。理想が高いということは、その分自分が無意識にでも「学習しなければ」と思っている目標値が高みにあるということで。スランプを乗り越えてそこにたどり着くことが出来れば、きっと素敵なプロダクトが完成するはず。


■停滞期であり衰退ではない理解

 スランプは、ともすれば自分の実力なりがどんどん落ちていっているようなそんな不安を覚えてしまいますが。スランプはあくまで停滞期です。衰退しているわけではありません。乗り越えるとまた成長が始まります。

 しかしスランプ時に何もしなくなってしまうと、中華鍋を磨かなければ錆びていくように、技術も知識も錆びついていきます。いわゆる衰退につながります。

 一番いいのは、スランプ時はスランプ時で割り切ってまず終わらせて鍛錬を怠らないこと。


■焦りとスランプ

 スランプ時はせっかちな人であrばとにかく焦ります。その焦りのせいで余計に頭の中が混乱し、判断力の低下などを招きます。焦ることでは生産性も上がらなく、また人間関係もうまくはいきません。


■疲れとスランプ

 スランプだなと思いきや疲れで消耗しきっている場合もあります。疲れることで、普段のパフォーマンスの半分も出し切れないなんてことはよくあります。特にデスクワーカーは力仕事と違って、疲れへの理解が少ないように思います。力仕事だろうと頭を使う仕事だろうと、とにかく「疲れ」というのは天敵です。疲れを感じるようなスランプであればまずは休むことから。

(ちなみにこの記事は先日あまりの疲れにより全くネタが浮かばず「やっぱり自分は何をやっても駄目だ」と落ち込んだ私が最終的に「あ、これ完全に疲れすぎだ」と思い急いで寝て、起きてから浮かんだという経緯があります)


■目標とスランプ

 目標のないトレーニングはすぐにスランプに陥ります。自分が何を目指しているのか、どこに向かっているのか。目標地点の曖昧さはスランプを常態化させてしまいます。そのようなスランプに陥っている場合は、とにかくまず落とし所をどこにするのか。これを決めることが大切です。


■気分の波とスランプ

 個体差はあれど、気分の波は誰にでも訪れます。その波が激しい人ほど激しいスランプに陥ります。最高潮の時自分、というのはどうしても記憶に焼き付いてしまいますから「自分は本来あれくらいのパフォーマンスを発揮できるのに、今はどうしてこんな…」なんて落ち込み方をしてしまう。普段から何らかの形で記録しておけば、自分の平均値も見えてきます。


■解消法:環境の見直し

 人間が成長するには都度都度人付き合いなど生活環境を変化させていく必要があるとされます。長年変わらない人間関係は「慣れ」と「妥協」にまみれていきます。人間関係にかかわらず、生活環境にも同じことが言えます。適度な模様替え、人間関係の更新。これもスランプを乗り越える一つの方法です。


■解消法:人と会う

 人と会い、話をすること、言葉にすることで自分モヤモヤを口にしたり、間接的な情報を聞くことで凝り固まっていた頭の中のシコリを解消する。直接的なアドバイスを求めなくても会話の中で何か解決の糸口が見えてくるなんてことはよくあります。しかし一人で篭ってしまうと、思考の檻にとらわれてしまいます。ヤバいスランプだ、と思ったらすぐに人に会うような反射神経があると良いかもしれません。


■解消法:普段やらないことを行う

 行ってみたことのない場所に行ってみる。興味はあったけど手付かずだったことにチャレンジしてみる。絶対見ることはないと思ってた映画をあえて見てみる。頭の中に普段と違う刺激を与えてみることで、良い刺激になることもあるし「こんなことやってる場合じゃない」と情熱が戻ることもあるし。


■解消法:一旦手放す

 習得を短期間なり一旦手放す。その間休むでも遊ぶでも別のことに打ち込むでもして、とにかく手放す。水泳で呼吸しない人は居ませんよね。息継ぎしますよね。学校の授業なんて2時間も3時間もぶっ通し聞いてられませんよね。休み時間が挟まるからまだ耐えられる。スランプは「そろそろ息継ぎしたいんだけど」という合図である場合もあります。なので一旦手放すというのも重要です。


■スランプは何らかの信号なのでうまく付き合う

 いずれにせよスランプに陥っているというのは、何かしらのサインではあります。でも衰えのサインではないから、引き続きうまく付き合って行けばまた成長がやってくる。誰にでも訪れる「壁」ですね。そこで諦めるかどうか。壁を登るのか、突き破るのか、迂回するのか、背を向けて去るのか。

 でもせっかくスランプに陥るくらいにのめり込めたものだったのなら、背を向ける以外の方法で壁を超えていきたいものですよね。

 ちなみに途中例に挙げたザッカーバーグ氏ですが、成功の秘訣は才能や能力よりも、グリット が大切であると語っています。グリットとは、根気・やる気・情熱、などの精神的な気骨を表す言葉だそうです。行き着くところまで行くと魂の話にはなるようです。

スランプ克服の法則 (PHP新書)
岡本 浩一
PHP研究所
2014-05-30