20160921


 ここの所、経営者の方々と出会う機会が多くなってきて、その際にはトップダウンとボトムアップ、いずれかの傾向が見られるわけでした。

じゃあ結局のところ、私の主眼としてはどちらの組織がより人が育っているのだろうというところから今回は注目しようと思った次第です。




■トップダウンとボトムアップって何

というところから、ざっくりと。

まずトップダウンは、経営者や上司(トップ)から部下(ダウン)へ向けて指令が下り、トップの意向に沿って組織全体が動きます。組織の決断も発案も全てはトップ次第ということになっていくわけですね。メリットは、組織全体が同じ方向を向いて集中的に活動できること。デメリットはトップがミスると組織全体が致命傷を負うこと…?

次にボトムアップは、部下(ボトム)が経営者や上司側にどんどん意見したり企画したりして行動していくスタイル。なので経営側は部下側から出てくる意見をどんどん吸い上げて、全体をまとめていくスタイルになります。
メリットは、部下側に権限をある程度移譲することで意思決定が早くなり、組織の拡大がスピード感を持って行われること。アメリカのIT企業はこの方向性が強いように思います。デメリットは、経営側が組織の制御力を失うこと…でしょうか?

さてここからは、実際に話してみたり行動を共にしてみて感じたこと羅列。


■トップダウンな人々

 印象としては、業界の景気が成長中・イケてる時に力を発揮するタイプのように感じました。業界が「投資し甲斐のある時」にあって、部下があちこちフラフラしてしまうような状況はチャンスを逃すに等しい。強引にでも一つの事に集中させてガンガン進むのが特徴だと思います。

業界が投資し甲斐があるときに、周囲の意見を吸い上げていくスタイルは、イワシの群れがやってきているのに各々が各自に釣り竿なり網なりを使って小規模にちょこちょこと突付いて終わってしまい、個人個人がそれぞれに成果を上げたとしても、組織全体の収益化は見込みにくい?

なので業界の盛り上がりに乗じる場合はトップダウンでガっといってしまうのが強そう。


■ボトムアップな人々

 業界自体が模索段階にあったり、あるい安定段階に入った時に力を発揮するタイプのように感じました。この段にあって、ボトムアップだと各方面に根を這わせることが出来るため、特に安定段階に入った資産を活用しながら次のステップも素早く見つけて取り組んでいけます。

逆に安定段階ではトップダウンでも依然として安定した収益の確保は出来るものの、次の一手が打ちにくい。意思決定の遅がやはりネック。またトップダウンだと結局のところ一人の考えうる会社感が限度になってしまう。トップダウンはトップが老年化して思考力が低下したり価値観が古くなって世の中から置いて行かれたりすると結構大変なことになる。


■どっちで人が育つの?

 儲かるかどうかの話にシフトしてしまいましたが、本題のどちらの下で人はより育つのかという話。先に結論から言えば、どちらも育つが、育つ方向性が変わるという考え方かなと思いました。


■トップダウン経営で育つ人は、トップの近くに居る人

 人が育つためには、沢山の仕事を抱えたり、沢山の現場を経験したり、沢山の挫折を味わったりと、周囲よりも経験値を多く積むことだと思っています。要はバッターボックスに立つ回数を増やす事が必要。

トップダウン経営には優秀な右腕が必要になります。トップダウンといえど、何から何まで一人でやるわけでは勿論ありませんから、トップが抱えきれないものをどんどん自分の手から離していきます。

すると、その「しわ寄せ」は、トップに近い人間にまとめてやってきます。自分の目の届く範囲、信用出来る人間に極力回しておきたいので。トップの近くに居れば、打席に立つ回数が増え、めちゃくちゃ働くことになります。なので短期間グッと成長する。

世のお父さんたちが土日をゴルフで潰しているのは、少しでもトップに近づいて給料アップだぜ!という単純な考えもありつつ、私としては「早く金を動かしている側に近づいて、ノウハウを得る事が自分にとってメリットが大きい」という理由なのかなぁなんて思ってます。

長くなりましたが、トップダウンっぽい場所に来たらとにかく上に常に接点を持っていくこと。逆に言うとトップから遠いと、成長からも昇給諸々からも遠ざかるのではと思います。


■ボトムアップ経営で育つ人は、自分の意思で進む人

 トップダウンだと、自分の事業を立ち上げようとしていたって、それがトップの意思と反する場合は、経営サイドにとっては邪魔なので妨害されるでしょうし、普通にクビコースなように思います。

一方でボトムアップの場合は、トップ自体が周囲からより良い意見を吸い上げようと立ち振る舞っているのですから、そのトップの近くに居るからどうにかなる、というものではない。

それよりも意見して実行して、あわよくば独立さえ考えてるような人の方が、成長も出来るしトップからもありがたい存在になっていくように思います。

トップダウン側の考え方で居ると、何もしないけどトップの近に居るだけの人になってしまって、成長の機会を逃してしまう。また、こうした方針の場合は何もしない、なんとなく居る人、が割を食う形に。


■トップダウンとボトムアップの性質を理解したうえで、どちらも利用する

 トップダウン・ボトムアップ、どちらも極端に傾くような事はないと思うのです。人間同士が集まっている組織のバランスとして、常に葛藤しているものなのではないかと。

ここまで書いてきているように、どちらかが正解かという話ではなく、状況的にはどちらのほうがより効果が見込めるか、というものになります。 

なのであとはその都度その都度移り変わる世の中の動きに合わせ、トップダウン思考でいくか、ボトムアップ思考でいくかを日々考えながら、バランスをとってうまく生きていくのが利口なんじゃないかなぁなんて思う所でした。

特に日本企業の多くは「バブル」を経験し、そのバブルの成功体験をベースとしたマネジメントなり知見の共有が成されているように思います。バブル期といえばまさにトップダウンが輝き、勝つ時代でした。私はその当時を体験していないのであくまで文献等見聞きしての感覚ではありますが。

そして世界で成功している企業は成長期はトップダウン、その後はボトムアップに切り替え上手く生き残っているように思います。所謂ブラックと呼ばれているところは、利回りの悪さを強引なトップダウンにより乗り越えようとしたが故のものと思います。



さてさて、どうにも日本の諸々の構造等考えても、そろそろトップダウンでうまくいく場所は限られてきているように感じるのですよね…。なので、個人として感じている今の世の中全体は、そろそろボトムアップにシフトチェンジしようとしているような気がします。

ではその世にあって食いっぱぐれないためには、成長するためには。自分から意見して、チャレンジしていくようになっていかなければいけないのかなと、そんなことを考えるのでした。だって多くの業態がもう、トップダウンではブラック化することが目に見えているのですから…。