20150130
出展:いらすとや

皆が皆スマホを手にするようになったことから、炎上というワードが身近なものになってきました。
私はネットに漂い続けて15年間程度ですが、
そんな私なりに無意識下で意識してる防火の心構えについて思うことを少し考えてまとめてみました。


■炎上とは

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%8E%E4%B8%8A_(%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E7%94%A8%E8%AA%9E)
炎上(えんじょう、英: Flaming)とは、なんらかの不祥事をきっかけに爆発的に注目を集める事態または状況を差す。また、このような状態を祭りとも呼ぶ。
wikipedia冒頭より抜粋

実名・匿名問わず、ネット上における私刑を指すものであります。


■炎上の広まり

ネット炎上は、ネットの人口の増加に比例して効力を増してきているように感じます。
スマホ普及よりもう少し前、ノートパソコンが安価になり普及が進んでいった時代頃からでしょうか。
WEB人口の絶対数が少なく、SNSも普及していなかった頃は、
決して炎上が無かったわけではないのですが小さな火種こそあれど、
そこまで爆発的な効力をもたらすという事は無かったように感じてます。
某掲示板での某芸人さんの事件とかあるといえばあったのですが。

そこにきて電車男の人気による、ネットコミュニケーションへの注目。
日本ではmixiあたりから始まったSNSの文化。
2chまとめブログのはじまり。

諸々時代にして約10年前頃からでしょうか。
この頃から個人はネットを情報置き場から
コミュニケーションツールやメディアとして利用しはじめ、
同時に炎上との密接なつながりを持ち始めたと感じてます。


■炎上と個人

個人の炎上はネットの利用者拡大に伴って増えてきたように感じます。
主要原因は以下。

・特定クラスタに対する無自覚または故意の誹謗中傷
・無自覚または故意による軽犯罪の公開

主に多くの人達が持っている倫理観や道徳観に触れた時、それらは大火となります。
自分が何故炎上しているか分からない人にはこの辺の意識のズレを感じます。


■防火対策について

ネット発信における防火というのは
倫理観や道徳観をいかに配慮して発信するかにかかってきます。
ささーっと書いて、さぁ送信というタイミングで

・これの発言は誰かの神経を著しく逆撫でないか
・誰かを傷つけていないか
・犯罪行為にならないか
・読む人によって大きな誤解を生む内容になっていないか(曖昧などちらとも読める表現にしていないかなど)
・感情的な部分を書いていないか
・自分の詳細な情報が分かる事柄や写真などを掲載していないか

こうした部分を考えた上で、発信。

特に、感情的な表現は文章に起こすことで、
受け手に全く違った印象を与えるものがございます。
前後の情報不足や誇張表現、等々によって
発信者にとっては溜まりに溜まった一文であろうとも
受信者にとっては初めて目にしたものでしかなく、
思いもよらぬ攻撃を受ける事があります。

怒りの表現や、悲しみの表現にすら、表現を間違えると
「それはお前が悪い」など言葉の刃が降り注ぎます。
感情的な表現については、そうした気分の時こそ慎重な発信を心がけた方が良いです。

また、日本語の主語述語段落の構成力不足から要らぬ誤解で炎上する人も見かけます。
これはもう文章力の問題なので、
発信前に文章を読みなおす癖をつけるとか、本を普段から読むようにするなど。
例えば最近見たものだと「これは例え話なのですが」って主語が無いままに
読む人が嫌な気分になる内容を書いてしまったがために
例え話ではく、その筆者がその内容の事柄をやったもんだと勘違いされた、
なんてことも見受けました。


■ネットに昔から住んでいる人達

それから、ネットに昔から住んでる人達のことを知る事も大事だったりします。
「ネットに住む」ってどういうこと?
という人には記事最後に紹介する本をオススメいたします。

簡単に言うと、日本全体にまだネットが流行る前からサービスを利用していた、
ネット文化初期からの空気感を知っている人達。
彼らは秩序を好み、ネットが心地よい空間であることを望みます。
(あくまで私の観測での感覚ではあるのですが)

炎上はネット秩序を守るのための自浄作用みたいなもので、
皆が皆、普段から故意に炎上させてやろうと
あちこちを嗅ぎまわっているわけではありません。
むしろ彼らはネットの世界を愛している。秩序を愛している。
でも騒ぎの種、祭りの種も探してる。不安定なバランスなのです。

誰かを傷つける存在、誰かに不利益をもたらす存在、
隠れて良い思いをしようとする存在、無知で無教養な存在、秩序を破壊する存在。

こうした人達は常に炎上の可能性を秘めている。

とはいえ別に、昔からネットに住んでた人がどうこうではなく、
今も昔も変わらず、世の中に鬱屈とした感情を抱いている人は一定数おります。
正しいとされる基準を守ってきているのに、
自分だけが良い目を見ることが出来ない。自分だけが怒られる。
小賢しいことばかりする人間が表立ってちやほやされる。
人並みに努力はしてきているはずなのに、自分の人生には普通すら訪れない。

こんな感情と、ネット炎上の火種とが巡りあうと、大火となります。


■いじめ構造と同じ、二次災害について

いじめは主犯格だけで済む問題が、周辺人物によって歪曲化して拡大し、
何故かその人物をいじめても良いと判断する免罪符を得た人が、攻撃に参加したりします。
インターネッツでの炎上はこの人数が膨大になります。所謂二次災害です。
こうなるともう火は燃えに燃え続け大火災に。

勝手に燃え広がるのでこうなると防火対策なんて無駄無駄。


■火に薪をくべない

炎上は基本的に反論することでさらなる業火を生み出します。
また、沈黙することでも、やましいことがあるのかと叩かれます。
どうすりゃいいねんって話ですが、どうしようもなかったりします。
コメント欄を閉じるとかTwitterやFacebookについては鍵をかけるとか
実際の脅迫めいた事柄があれば警察相談するなど。

ともかく、燃料が切れるまで待つのみ。
これ以上燃やしてもおもしろくないなと思われるまで待つのみ。
いわゆるほとぼりが冷めるまで待つ、というやつです。


■発信する限り炎上は避けられない

交通事故に遭わないためにはどうしたらいいかといえば
車通りの少ない道を避けるとか、信号を守るとか、は勿論なんですが、
それもあくまで確率を低くする手法にしか過ぎず。
一番は「家から出ない」これに限るわけです。

つまりネット上で発信し続ける限り、絶対に炎上しないという確証は無い。
この場合、一番は発信をそもそもしないなんですが
今どきネットに全く発信しないスタイルというのも
スマホネイティブな人にとっては難しいと思われます。
だから可能な限り道路標識の読み方を知ったり、道を選んだりをする。


■「嫌なら読むな」は通じない

自分が不快な情報なら読まなきゃいいじゃん。

とは、残念ながらならないのです。
学校の授業を想像してもらって、もしクラスの誰かが突然花火を始めたとして、
それを「嫌なら見なきゃいいじゃん、教室の外に出ればいいじゃん」とはならないわけでして。
でもその理屈を知るにはネットの構造そのものを知らないといけないわけでして。


■インターネットサービスの構造理解…までは面倒

ネットサービスの変化をたどってきた人にとっては当たり前のことが
スマホからTwitterやFBなどをはじめた人にとってはまるで当たり前じゃないなと。

何故どうやってどこから炎上させる人々は飛んで来るのか、など。
でも一口で説明するのがなかなか難しい…それだけで膨大な文量になってしまう。
なので今回は各サービスで気をつけることだけ。

・Twitter…プライベートに関わる情報はなるべく書かない。どこの大学だとか社員だとかも。決して実名で使わない。実名とも極力リンクを避ける。どうしてもプライベート連絡用を作るなら鍵アカウントにて。

・Facebook…基本的には実名必須なので、当たり障りの無いことだけ書く。友達の名前も極力出さず、場所が特定されそうな写真も出さない。楽しい活動報告だけを発信する。政治的な発言も避ける。誰かやどこかのクラスタなどを貶めるような強気の発言も避ける。

・LINE…言葉での「言った言わない」よりもテキストとして確実にデータに残るので、下手な文章は残さないよう、当り障りのないやりとりを。誰かがスクリーンショットをとってアップしないなんてことは100%あり得ない、とまで断言は出来ませんから。

結局どのサービスも当り障りのない事を言うのが一番炎上を避ける上で大切。


■炎上と企業

今回の主題ではないのですが。
企業に対するネット炎上が効力を持つのも今やすっかり当たり前になってきました。

以前から、実際にあった事件などに対して企業への制裁に自粛があると、
・その企業へ一斉電話を仕掛けて営業妨害をしたり
・その企業の社長や社員などの個人情報を特定してなにかしらやったり
・不買運動を行う
みたいなことはありました。

とはいえ最近は警察もお仕事として取り締まりをしっかりと行っているので
以前よりも秩序はあると感じますが。

そうして実際の営業妨害工作などが減った分
レビューサイトなどを利用した低評価付けによる炎上も最近では普通です。
今やユーザーと密接なつながりのある企業は炎上との付き合いは不可避です。
現在は目に見える形で製品評価や転職サイトでは企業レビューもあるくらいで
ユーザーの炎上が企業に及ぼす影響力は強くなってきていると感じます。


■私の炎上体験

こんな記事を書く私も炎上は一度体験したことがあります。
とはいえ10年以上前の学生時代だったのですが。

今でも覚えてるんですが、自分が通ってた学校の2chのスレがあったのですが。
その中で学校の事が結構ボロクソに言われてて。
自分の中では正しいと思って入った学校だったのに
なんでこんな酷い事を書かれるのかと思って
「そんなことは無いよ、この学校だって結構良い部分はあるよ」みたいなことを感情的に書いたわけです。
そうしたらもう、すさまじい誹謗中傷の嵐。
人格否定や親への非難まで。死ねとも言われました。
小さな、炎上と呼ぶべきものかも分からない規模でしたが、
沢山の人の言葉のリンチに遭ったのでした。

こうして10代の頃に、世の中には顔も見えぬ人を全力で叩きのめそうとする
一方的な暴力があるのだなと学びました。
たった一言の軽率な発言が恐ろしい結果を導くのだとも。

ちなみに確かに私の母校は卒業してから冷静に考えると、まぁ…うん…みたいな学校でしたが。



■おわりに

炎上で人気になりたい場合はこれの真逆を行けばいいということになります。
今回のはあくまで個人の防火対策であります。
鉄の心臓を持つ人は炎上恐れず自分の主義主張を貫くのが良いとは思いますが、
多くの人が同じような打たれ強さを持っているわけではないと感じてます。
それに意図しない炎上は本当に辛い。
可能な限り避けたい。

そんなわけでして悲しみが連鎖しませんよう、防火マニュアル的なものは
色んな人が書き残していって貰えると良いなぁ、と思う次第でございました。
こうして発信者にとっても受信者にとっても健全なネットになると良いなぁと、
イチユーザーとして願うわけなのでした。

とはいえ炎上を扱う記事自体も燃えやすく、細心の注意を払う必要があるため
なかなか取り扱う人も居ないのだとは思うのですが…。
炎上について取り扱わないのも、防火対策としては大切な事だと思います。


諸々の事柄なんて気をつけてたら何も発信できないし
そもそも自意識過剰なんじゃないの?
と感じられるかもしれませんが、
自意識過剰な位に神経張り巡らせてすり減らして発信するくらいのバランスで、
ようやく丁度良いと個人的には思って昨今の様子を見ております。
そうして慣れてきたら少しずつバランスをとりながら踏み込んでいけばいいのかなと。