20151013
ドラゴン桜(1) (モーニング KC)



 この漫画、8年前に完結したのですが、未だもって良い内容でした。連休中に全部読んだので雑感を自分のためにメモメモ。



■ドラゴン桜とは

 教えてやる! 東大は簡単だ!!

という煽りから連載当時話題になった漫画。ドラマ化するやプチ社会現象を起こした(らしい)。偏差値30台のいわゆるおバカ高校は経営危機を迎えていた。そこに現れた弁護士桜木。彼は、当初民事再生法適用後の管財人として来訪していた。だが自分の弁護士としてのキャリアのためにデカイことをやろうと考える。それは、経営再建。そのために「5年後までにこの学校から東大入学者を100人出す」という構想。

彼は不良だらけの高校に奇跡を起こそうと行動を始める。


というような内容です。


■勉強が好きになるための漫画

 例えば勉強アレルギーの仕組みが説明されてました。古文で躓くのは何故?という題材に対して、文体が古いから訳すだけで手一杯になってしまって中身がまるで入ってこない。そのせいでに段々と古文がつまらないものになっていく。

でもそこでその古文は「何故」生まれたのかを考える。ネットもレジャーも無い時代、彼らは「暇」だった。暇人達が創りだしたのは恋愛情事とかそういうことがメイン。なんだか難しいこと書いてるようで中身はそんなもの。

とはいえど、やはり訳すのが大変。なのでそのためにはまず漫画化などされているものを読んじゃう。予習しちゃう。大筋を知っておけば、頭のなかでおおよその変換が出来る。



 また、例えば数学。数学アレルギーは計算を解くスピードが遅くなるから、複雑化していくから「苦手」になっちゃう。小学校の頃の算数は簡単に感じたのは、解への道筋が短く、相対的に早く解答できたから。そして数学は基礎の鍛錬。簡単な100マス計算を何度も繰り返し行いながら、基礎を積み重ねることが大事。


■自分で考える事の意義を問う漫画

 この漫画で強調されているのはとにかく「まず型にはまること」。この作者さんが別の作品でも繰り返し述べている事柄。自分らしさとかオリジナルとか、そういうことを言ってるから今の現状なんじゃないか、と。まず真似して、型にはまること。
自分の頭で考えるというのは、たくさんの型を習得し学び、それらを自分の中で結びつけることにより生まれる。勉強もしないで「自分の考え」とか「自分の哲学」なんて言ってる人間は、勉強していない自分を正当化したいだけである、という話。「ナンバーワンじゃなくオンリーワンでいいとか言ってるが、オンリーワンってことはその道においてナンバーワンだってことだろう」というのは、あぁ確かに(笑)と思いました。


■家庭と子供の関係性について考える漫画

 教育を題材にしているのですから勿論生徒達の私生活部分にも焦点が当たります。子供に対して応援しているのに何故どんどんダメになっていくのか。それは子供のためじゃなく親の面子のために声をかけてるだけだから。
ダメな子だと言い続けたらホントにだめになるのは、子供は自立のために自信・自尊心の形成が最も大切であるから。どんなに優れた芽であっても、そうした言葉によって摘まれてしまう。

のような感じでざっくりですが、親視点から、あるいは教師視点から子供との接し方についてなどにも触れられてます。


■運悪く学ぶ事の意義、学び方を教わらずに大人になってしまった人のための漫画

 はい、私です。子供の頃に親も学校も選ぶ権利は無いので、その思春期に残念ながら良い出会いが無かった人にとって、この漫画はその当時に必要だった型を教えてくれる漫画。というか社会人になっても必要な事柄がいくつも書いてあるので何歳になっても読み返して損は無さそう。


■多方面の取材がされている漫画

 この漫画、かなり多方面の取材を経て作成されている様子で、当時の現役東大生やら教師やら経営者やら弁護士やらとにかく多岐の意見が集約されている模様。各分野の人達のノウハウがギュッと詰まった内容になっており、よくある作者一人の偏った意見になっていないのは好感でした。


■センター試験の実践に使えるかといえば

 8年前の受験事情と今がどう変わってるのか良くわからないですが、概ね否定的な意見が多いみたいです。そもそもあんなプロフェッショナルな人達を雇って初めて達成された東大合格なんだから、という話。ごもっともすぎる。あんなスペシャリスト達、実際に集めた学校はあるわけじゃないですし、個人で契約しようとしたら全科目合わせたら1億円くらいになってしまうのでは…。

中身云々よりも、あんな環境がそもそも現実的じゃないって話でした。あと理Ⅰが簡単だというのも微妙だって話でした。


■メンタル面のマネジメント漫画

 努力も怠惰も結局は自分で確固たる意志を持つことこそが一番大切なわけですが。人間自分だけでメンタリティを維持するのはやはりなかなか難しいので、そういったときに周囲と協力して築けていけると良いのですが。残念ながらそうした機会をのがしてしまったりすると、辛いことになってしまう。

そうした時に自分が見失いがちな点、知ってたのに忘れてしまってた点、そういう部分を様々な角度から補強してくれる良い漫画だなぁと感じました。

個人的には、手帳の話が良かったです。普段から毎日の学習を手帳に記載するようにして、もし不安が押し寄せてきた時は読み返す。自分はこれだけやってきたんだ、という形に残ったモノを見ることで挫けそうな心に活を入れられる。最後に助けてくれるのはこれまでの自分である、という部分が良かったです。 


■いちスポ根漫画として

 出来損ないのふたりきりの特進クラス。その二人の生徒が21巻をかけてゆっくりゆっくりと成長していく様はまさにスポ根の王道的カタルシス。単純にストーリーラインを追っていっても楽しめる内容でした。




■もっと早く出会っていたら良かったか…?

 とは思ったのですが、私が読む姿勢が出来てたから読めたのかもしれませんです。仮に学生時代にこれ読んでたとしたら…うーん、「二人の環境が羨ましいなぁ でもどうせ漫画の話だし」で終わらせてたかもしれない。どうなんだろ。(私が学生時代に刊行はされてませんでしたが。)でも仮にこうした漫画に触れていたら、当時勉強が嫌になっていた気持ちは少し変わってたかもしれませんですし、世の中の見方ももう少し変わってたんじゃないかなと思いました。

真面目系クズで悩んでる色んな事柄についてある種答えめいたものが記載されてるとも感じました。良い漫画です。