20141107
出典:いらすとや

今回はメールアドレスの誤表記なのか、 返信ができなかったのでブログにて掲載します。
結構難しい問題だと思うので、上手く答えられていると良いのですが。


 

■相談文


初めまして。いつも更新楽しみにしています。
この質問が適切かどうかわかりませんが、
自重によって行動を制限しては機会損失と思い、 不躾ながら質問させていただきます。

私は子供の頃から1秒でもあれば遊んでいたいゲームジャンキーで、社会に出たくない一心で 漫画家を目指していました。
それは浅はかな偏見で、あわよくば一攫千金、社畜に非ず自由奔放、そういう妄想を抱いて学生時代を過ごしました。
もちろん創作活動に熱は入らず、絵描きとしての技術もろくに付かないまま、大学を卒業するまでに至りました。
既卒になって身の振り方に悩み、某公務員試験に合格したので、将来は昇格して楽と安定(これも偏見) のある生活をしようとしていましたが、しばらくして「金持ちの思考~」的な本、例えば起業家やスピリチュアリストの自己啓発書などを読みふけるようになり、その中で強く勧められていた起業や投資といった方面で野心を抱くようになりました。

そして幾ばくかの行動力が芽生え、様々な方からお話を伺う機会にも恵まれました。
しかし、これも漫画家志望時代から根本は変わっていないように感じています。
起業で成功するのも、投資で儲けるのも、漫画で一山当てるのと同じ「妄想」でしかないのです。
行動力の源にはなっていますが、今の私に出来る事と言えば、主婦よろしくアイデア商品でも妄想するか、入る隙の無さそうなLINEスタンプでも作るか、株の仮想取引を少しいじっては飽きる事くらいです。

Web制作やSNSを作るくらいのIT知識でもあれば少しは違ったかも知れませんが……。
そもそも考えの根本に「大金作って遊んで暮らしたい」というのがある以上、 矛盾を抱えて中途半端な行動になってしまいます。

繰り返しますが、私は生真面目に見られるものの、本質は楽したがりの無能です。 起業に能力は必要ない、と多くの本が言いますが、それが本当なら、 少なくともその本の発行部数くらいの成金が存在する筈では?
と、考え、やはり現実は厳しいかと尻込みしてしまいます。
そういう経緯で、今一度公務員として生きるか、 馬鹿凸だとしても独立に向けて行動するかについて考えています。
つきましてはお知恵を拝借したく、メールさせていただきました。
長文になってしまい大変申し訳ありませんが、ご回答をいただけましたら幸いです。 


■「自分だったらこの人にどんな言葉をかけるだろうか?」


 シンキングタイムとして、「自分だったらこの相談に何と返答するだろう」というのをちょっと考えてみると、頭の体操になって良いと思います。



■まじクズの回答


○○様

はじめましてご連絡ありがとうございます。
まじめ系クズの日常を執筆しております、まじクズです。

公務員試験合格したものの、夢を追ってみたい自分と現実思考な自分を天秤にかけて、
自分の落とし所がわからなくなっているということですね。

○○様は大変頭の回転が優れた方のように感じます。
今回の問題は自分が進む先の具体的なリスクや道筋が不明瞭なのがネックです。
では、話は簡単なので、複雑になってしまっている問題を分解してみましょう。


クリエイターや起業家思考の人は
「欲求や情熱」と「生活の糧の職業として(お金のため)」
という考え方で、各々割合をとっているように思います。4:6とか8:2とか。
○○様の場合、金銭目的が大きいようなので「情熱」:「お金」=2:8くらい。

では話が早いのでお金の話に焦点を絞りましょう。
簡単に、自身が望む「一攫千金 大金」の金額をまず算出してみましょう。
ついでにどんな生活をしたいかもイメージして、ソレにかかる金額も計算してみましょう。
大体でいいので大雑把に。生涯何億円くらいお金必要になるかなー、と。


さて、今度は公務員の生涯価値を算出しましょう。
大卒の場合生涯賃金2億6,670万円ほどが平均みたいですね。
今後年金が減るとはいわれてるものの
公務員の共済年金の話はあまり議論に上がらないので
定年後は年間200万円くらいは死ぬまでもらえると仮定します。
仮に将来的に制度見直しで定年が70歳になったとしても、
90歳まで生きたとすると年金だけで4000万円以上はもらえる。
つまり公務員を選ぶと死ぬまでにだいたい3億円の所得を手にする計算になります。
(このお金は資産運用等で増やすこともできるでしょう)

ということは公務員の生涯価値は所得約3億円。


ではでは起業に戻りまして。
つまり事業主になるということ。
事業主になると年金も国民年金になりますから負担額は大きいのに将来のバックは安い。
社会保険も全額自己負担。
いずれの税も滞納無しをもちろん前提とします。
そうするとよく言われるのが、事業主は会社員や公務員に比べ3倍の所得が必要となります。

つまり、○○様が公務員と天秤にかけている起業・事業主は
「生涯所得、約9億円」
というのが一つ明確な基準値になります。

別の見方をすると、公務員というのは事業主として換算した場合に
9億円程度の所得と同じくらいの価値の職業であるということが言えます。

では次に起業して最低限「9億円の所得を得る」ための道筋を考えてみましょう。
何年以内に9億円稼ぐか。それだったら1年につきいくらの所得が必要か。
そのために何の能力が必要か。どんな人と出会う必要があるか。
どんな場所でどんな業種で事業を起こすのか。

例えばLINEスタンプだったら、
現在発表されている市場規模は36億円で上位10位内なら売上約3500万円。
LINE社に売上の半額もっていかれますので実質1750万円の所得。
この上位10位以内を目指せるスタンプを約50品目作ればOK。
100位以内で売上1000万円規模だから200品目作ればOK。
漫画だったら印税は約10%なので2250万部売れればOK。
アイデア商品だったら売れてる商品は?市場規模は?コネは?
株式だったら元手はいくらだろう。稼いだ人はどれくらいで稼いだのだろう。どう稼いだのだろう。
一つの業種のみで稼ぐという縛りは設けず、
どの項目でどれくらいだいたい稼ぐだろうかという算出でも良いです。

そして最初の一攫千金で描いた楽しい生活
(多分公務員生活で描くよりもリッチな生活を描いていると思います)
のためにプラス何億円必要か。
これの合計額が、一攫千金起業家の道を進んだ場合の
○○様が生涯必要な所得です。
 

公務員には約束されたお金が100ある。
ただそれは200になることはない(資産運用などの道もあるがそれは置いといて)
そして100への道や時間は自分ではあまりコントロール出来ない。

独立して起業する場合は公務員と同等になるためには300稼ぐ必要がある。
ただそれは場合によって1000になることも0以下になることもある。
しかし300への道や時間は自分の頭の使い方で次第でコントロール出来る。
 

その上で自分にとってどちらが「トータル的に考えて遊んで暮らせる楽な人生」だろうか
というのを数字で改めて見つめなおしてみるといかがでしょう。
気分的にどっちが○○様にとって楽そうに感じましたでしょうか。
すぐに結論付けるでなく、1ヶ月に一度、半年に一度、1年に一度、
データを集計してはこういう天秤をその都度用意して、
したたかに考えてみると良いかもしれません。

これが、お金を基準として物事を測る方法になります。
事業主側に現時点でアドバンテージが見いだせる算段が立っているなら起業に踏み出すも良しです。


最後に後回しになりましたが情熱の話。
人が豊かな人生を送るにはお金ではなく得難き体験を重ねることが必要だと言われています。

ただ、安定で楽な人生も立派な得難き体験だと思っています。
そこから得たお金で更に得難き経験を買えばいい。

一方独立起業も波瀾万丈な人生であるとは思いますが大変得難いものだと思います。 

情熱のベクトルは今どこに向かっているか。
現在、1か月後、半年後にまた振り返ってみて、
その時に情熱側に何か変化があったら、情熱があふれているようだったら
あらためてお金と情熱の割合を算出してみると良いと思います。
情熱は損得のお金の理論をふっ飛ばします。


・職業に対する9億円基準の天秤
・職業に対する情熱の天秤
公務員側と独立起業側、どちらに天秤が傾いてますでしょうか。
そこから導き出されるのが、現状の○○様の答えだと思います。
まじクズ







■フワっとした悩みの天秤に実体感を与える

 「公務員」と「独立起業」どちらが本当に良いか。

自分の才能が無いこともなんとなくわかっている。わかっているけど色々本を読むと、やれるかもしれないと思ってしまう。でも一方で冷静な自分が起業本出してる人たちのロジックになんとなく気づいてしまってる。

どっちの道が正しいんだろうか???

この方は「公務員」にも「独立起業して一攫千金」にもどちらにも実体感が無いんですね。あるのは「才能が必要」とか「安定か不安定か」など。
であれば、実体感を与えればいい。しかもこの方は幸い、既に公務員試験を合格しているから、これから一念発起して公務員になるための勉強どうこうではない。選べる状態だから、どうしようという段階。

実体化する目安は「お金」と「情熱」
「お金」基準の公務員と独立起業=「3億円(独立の場合9億円)」が基準値
「情熱」基準の公務員と独立起業=「豊かな人生とは」が基準値

特にお金に対する傾向が強そうだったので、こちらの実体化を優先。
漫画で2250万部売る例とします(原稿料はほぼスタッフに流れる)。
そしたら2250万部以上売ってる人ってどんな人だろう?どんな漫画だろう?と調べる。
画力は?話の面白さは?という感じに。
そして自分はそこに切り込める実力があるだろうか。
無い。
となったときに「情熱」がどれだけ自分の「公務員を選ばなかった場合に被るかもしれない機会損失」
の背中を支えてくれるか。

そういう感じで数値化して一つ一つ落とし所をつけていってやるわけです。
とにかくフワっとしたら、実体化させる。調べられる範囲でいいからとにかく実体化。

そうした上で最後に「楽な人生を送る」というメイン欲求と照らし合わせる。


■おわりに

この質問の答えをひねり出して、自分自身もすこしフワッとしていた部分にケジメがついたように感じました。救われた気持ちです。

 今回の相談。私は出来るだけこの人の味方になるには、悩みの視点を変えて楽になってもらうには、という観点から考えてみました。

最初に質問を見た時、貴方の目にはこの相談、どの様に映りましたでしょうか。

いやほんと