20140821
引用:Amazon ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックス・エクストラ もっと!)
この苦しみへの共感度合いが少ない程幸せなのだと思います

「学生時代の私が居た…」
と、のたうち回る事必至な内容。
「自称真面目」は傷口えぐり返される気持ちで読めますよ(乾笑顔)
全ての真面目系クズの内蔵を抉るような、あるいは救いになるような漫画。



■内容について

 この漫画家さんは以前から心に暗雲立ち込める後味わるーい(褒め言葉)内容を書くことで話題になっていた方して、私は本書が初めてしっかり読む作品でした。

読むきっかけはコチラのブログ記事でした。
リンク先:明るく楽しく暗部に迫る悲痛なコメディ「ちーちゃんはちょっと足りない」 

なので内容についての興味はこちらを参考にされると良いと思います。
リンク先で述べられているように、読んでいて窒息しそうになる漫画でした。
私が内容について詳細書く必要など無いほど完璧な書評でございます。 
なので私はクズなりの視点から読み解きたいと思いました。 



■真面目がクズへ堕ちる時

ネタバレを避けるために名前を上げませんが、この漫画に登場する人物の中で、唯一イレギュラーが存在します。

その人は、何事も、そこそこで済ませてしまう。
その人は、大きな物語の変化の中で当事者にならない。
ギリギリの場所で、仲間のために声を発せられない。
当事者になるリスクから、逃げてしまう。
その人は、自分の立ち位置を掴めない。
その人は、いつも自分の後ろ暗い感情から逃げている。
その人は、いつも世の中がつまらない。
その人は、いつも自分だけが辛いと思っている。

物語が進むにつれて違和感のほころびがあらわになってくる。
まるで、真面目系クズの仮面がボロボロと崩れていくかのように。

1回読んで、別の箇所に焦点を当てて読める、2度オイシイ漫画。



■えげつない物語

現状の世の中で、若い人たちが観測するフィールドというのは実に狭く窮屈で、その中では、
どうしても傷つきやすい人、というのが生まれてしまう。
どうしても、傷ついた人は前に出るのが怖くなってしまう。
どうしても、早いうちから傷つきすぎて、怖くて逃げてしまう。
どうしても、誰との距離もとれなくなくなってしまう。
やがて、どうしてか、どこにも居場所が無くなってしまう。
それぞれが抱えるレッテルがありながらも、ぶつかり合った人が結局上手くいってしまう。

レッテルも怖い傷つくのも怖い。
自分の底の浅さを知られるのが怖い。
だから本気になるのが怖い。
他人が怖いから悪いところしか見えなくなってしまう。
他人の悪い所を見て、自分の後ろ暗さに言い訳してしまう。
後ろ暗さで、ますます疑心暗鬼になっていく。
そうして、萎縮して、萎縮して、現状のフィールドから爪弾きにされてしまう。
みんな、死んじゃえばいい。
つまんな世の中。 
自分だけ、死んじゃえばいい。

真面目の仮面で覆い隠していた歪みに歪んだ部分全てを抉りだす誠に残酷な作品でありました。



■救いの物語

 物語の通りになんて当然いかないけど、一つ確かなのは、その人が多くのタイミング躊躇していること、というのが一つ一つちゃんと表現されており、言わば思考の教科書のような観点からも読める。あ、こういった場面でこれ考えたことあるけど、そうか、もしこの時こうしてれば違ったのかもしれない…と、客観視出来る。

だからどうだって話じゃなく、そういったものが客観的に媒体として用意されてるって結構良いことだと思います。



■現実的な物語

 真面目系クズの葛藤なんて分からない奴には本当に分からない。何下らないことでウジウジしてんだ言いたいことあるなら言えよだからクズなんだよ。と思うかもしれませんが、必死なんですよ…ホントに…そういうこと言われるだろうなと思って、余計に萎縮して誰にも吐き出せないまま負のスパイラルに陥ってしまう。

そしてそうじゃない人たちの眩しさに心がよじれそうになってるわけでして。どうして自分ばっかり、どうして自分だけが、どうしてどうして、と。







■逃げて、失う物語

 まさに最近書いた記事の通りな内容でした。ああ、私はちゃんと、自分が避けたリスクの結果失ったものを分かっていたのだな、と。喜ぶべきなのか、落ち込むべきなのか。





■誰かの物語

 特にこの物語の残酷さを表すのが、実は皆どこかしら欠陥を抱えているというもの。そして、それを言い訳に使う人とそうでない人が居るというものが描かれる所。



■誰もが心に大小抱える心のスキマの物語

 この物語は、誰もがそこここにある心のスキマを覗き込まれるような物語。非常に作品として秀逸で、たった1冊の漫画にこれほど心を弄ばれる経験は後にも先にも早々無いでしょう。現代の心のとらえどころのない病症を見事に表現した傑作。あるいは無敵の人は何故生まれてしまうのか、のような因子を捉えた文学的作品。

真面目系クズには是非読んで欲しいです。
しかし、ただ心が傷つけられて終わるだけかもしれない。
だから、ぜひ読んでほしいけど、やっぱり読まないほうが良いかもしれない。

正直、こんな複雑な気持ちで本を
「オススメする?しない?」
で、迷いながら終わってしまうのは文章書く身としては不本意なのですが…この作品ばっかりは本当に、どう文章を終わらせて良いものか分からないです。

なので、ここでペンを置きます…きっとその理由も分かってもらえるはず