20140513
出典:ピープルズ無料イラスト素材


 記憶に新しい佐村河内さんや小保方リーダー。twitterでバカやった画像をアップして炎上した大学生、通称バカッター。

日々インターネットやメディアを通じてこうした私刑が執行されております。そうです、事件性よりも注目すべきはこの「私刑(リンチ)の蔓延状態」であります。

■私刑メカニズム

 私刑が何故起こるのか。私達は社会動物としてコミュニティを維持するために、倫理観という教育を受けてきています。これは国ごとに違います。例えば国の名前は上げませんが、海外で悪いことをしたら自分は日本人だと言え、とか、成功者の足をひっぱれ、とか私達からすればむちゃくちゃな倫理があったりします。

話を戻しまして、私達は日本にいる中で倫理観を養って生きていました。
この倫理は、脆く弱い社会秩序を支える楔となっています。

そうしますとこの私刑というのは、脆く弱い社会秩序が、何かの弾みで崩れてしまいそうになったとき(倫理が侵されたとき)結束を維持するための行為であると考えられます。

例えば佐村河内さんの私刑のメカニズムは以下の倫理が発生しておりました。
・作品にお金を払うという倫理観
・作家は本人であるべきという倫理観
・ウソをついてはいけないという倫理観(法律への抵触)



■大義名分と悪党成敗

 佐村河内さんの場合、この3点倫理観に抵触したため、ここに悪党を始末するための「大義名分」が発生します。また、佐村河内氏の影響力から、一つ一つの侵した倫理観への制裁も大きなものになります。

そしてここに、佐村河内氏という悪党を成敗する、勅命が先導者から下ります。それはメディアであったり、あるいは特定の誰かであったり。いわゆるきっかけです。



■バカッターの大学生の場合

彼らが侵した倫理は以下のものです
・大学生は修学に勤しむべきという倫理観
・法律への抵触という倫理観
・ネットリテラシーという倫理観

これもまた匿名掲示板などによって悪党成敗の勅命が下ります。



■そうして行われる私刑

 私生活を流出されたりいつ言ったんだよという言葉を掘り返されたり、過去の卒業アルバムを晒されたり、人殺しした人間よりも派手に人生を暴露され、皆の慰み者にされます。



■私刑の意味は何か

 誰かの所業によって破壊された倫理観がバランスを取り戻すため、保守するためであると考えられます。

ではその保とうとするバランスがどうして私刑という形で露呈するかというと、文化をベースに噴出します。鎖国時代に培われた、小さな村の中で共同体の倫理を守るために受け継がれてきた、協調とケジメ、見せしめによる共同体の維持など。

いわばみせしめによる恐怖の共有により、無意識に互いが相互監視状態を作り出し、そんななかで倫理観を自分たちは守っているのであるという安心感から生まれます。



■何故安心感を求めるのか

 これはみなさんご存知、お先真っ暗なお国の情勢であり自分の未来が見えないからこそです。そこまで広い話ではなくとも、皆明らかに先人たちが上で詰まっているから。だから、小さなコミュニティでまとまって、なるべくじっとしながら変化を拒んで今を保守したい。

 また、マスコミが頑張って私刑会見するのも、多様化する価値観の中、埋もれてしまうやもしれない自分たちの倫理観を守るためとも見ることが出来ます。


逆に、進む人はわざわざ他人を卑下して安心感を求めるなんてことはしません。うまく変化し、常に最良の居場所を求めます。


言わば、私刑コミュニティは一様に人を叩く事で自分の足場が安定していると思いたいわけです。



■私刑が何故起こるのか

 私刑は恥ずかしい!とかではなく、掘り下げると見えてくるものがあるわけです。

・社会不安から自分の立ち位置を確認したいがための行為
・ネット上やコミュニティから外れたくないがための証明行為
・不安から逃れるための、アイデンティティの置き場としての行為
・鬱屈とした思いを正義感として吐き出し発散する行為

ではでは更に、何故にこの問題が起きているのかといいますと。


そもそもその倫理観によって自分自信が苦しめられているからです。



■俺も苦しいんだから、お前も苦しめ


 ひとりでにげようなんておもうなよ にげたらつぎはおまえのばんだ


これが、この倫理の檻に囚われてしまった人たちのやってることです。互いが私刑仲間であり、私刑ターゲットでもあるのです。

じゃあ苦しみの共有はすべきなのか、といえば、なんでしなきゃいけないんでしょう?それよりも楽しい事を共有したほうがよっぽど生産的で、それでいて幸せになれるのに。

何故価値観がこれだけ多様化した世の中にもかかわらず、誰も彼もを不幸に導く私刑コミュニティの考え方にとらわれなければいけないのでしょう。



■私刑コミュニティからの脱却方法は?

 簡単。私刑に関わらなければいいだけです。私刑がうごめいているコミュニティに近寄らない。そうした映像を見ない。別にそれで話題に遅れようとも気にしない。だって貴方にはもう関係の無い情報なのですから。




■脱・他者アイデンティティ

 私刑コミュニティは言わば双方が自己アイデンティティ、自己評価の低さから他人を私刑で血祭りに上げることで、自分の立ち位置を保とうとする考え方です。これは、自己アイデンティティを他者に依存している状態になります。

そこから抜けるということは、自分のコアとなるアイデンティティを失うことになります。これはとても不安になります。でも、今までフォーカスが他者の価値観でフォーカスがかっていただけなので、いずれ晴れます。

安心して私刑コミュから脱却して、自分を育ててやりましょう。



■私刑だらけの世の中の生き方

 みんな、鬱屈として、やり場の無い怒りを、弱い人間へ向けて発散しております。ターゲットは子供であったり社会的地位の低い人であったり、ちょっとやらかしちゃった人だったり。

そうして「親だから」「日本人だから」「年収も低いクズ職業だから」などと、大義名分を掲げて威圧し、萎縮させ、結果的に自分らで更に生きにくい世の中を生み出してしまう。

私刑は結局自分に返ってくるのです。そして、何度も繰り返す。



だから、一番良い薬はこれ

「他人中心の話題なんてどうでもいいから、自分の中心の人生を育てようよ」

ネガティブな行いはネガティブに返ってくるし
逆に言えばポジティブな行いはポジティブに返ってくる
そんなもんです


いやほんと



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