20140430
出典:amazon(リンク後述)

 本日は書評になります。お金に関する手引の本は沢山読んできましたが、本書は特に前提知識を持たずにサクっと読めて、かつ重要な事がたいへんわかりやすく噛み砕いて説明してくれている本でしたので、とてもオススメしたくなり記事に致しました。

■目次


 はじめに どうしたらお金に苦労しない人生が送れるのか

○第1章 お金についての考え方
 なぜ、宝くじに当たると破綻するのか?
 「貯金する」以外誰もお金について教えてくれなかった
 年収3000万円でもなぜかお金が貯まらない本当の理由
 収入が増えれば、「お金の問題」は解決するのか?
 お金とダイエットの意外な関係
 「お金は汚い」という幻想を取り払おう
 預金通帳はあなたの「お金の履歴書」だ

○第2章 お金の貯め方
 「仕組み」をつくれば、お金は貯まっていく
 私が実践してきた2割貯金のルール
 ダイエットのように貯金を公言する
 貯蓄へのマイナスイメージを払拭する

○第3章 お金の使い方<小さなお金編>
 生涯賃金から「小さなお金」を考える
 何が「浪費」で何が「投資」か考えてみる
 お金で買える時間、買えない時間
 これで衝動買いはなくなる!
 「お金の地図」としての家計簿づくり
 家計簿は「お金の通信簿」とかんがえる
 「何に使ったか分からないお金」を減らす方法
 お金の階段は一方通行

○第3章 お金の使い方<大きなお金編>
 「一生に一度の買い物」が一番の無駄になっていないか?
 保険はマイホームの次に高額な買い物である
 生命保険はほんとうに必要か?
 生命保険より損害保険の方が重要な理由
 マイホームは買った方が得か? 借りた方が得か?
 マイホーム選びのポイント①物件価格は家賃の200倍以内か?
 マイホーム選びのポイント②㉚年後でも資産価値があるか?
 車で「大きなお金」を使う予行演習を
 自分の財務諸表をつくろう
 財務諸表を見れば自分を俯瞰できる

○第4章 お金の稼ぎ方
 稼ぎ力を高めるということ
 いつでもお金のことを考えるようにしよう
 稼ぐノウハウは本から学ぶことができる

○第5章 お金の増やし方
 お金に働いてもらう
 資産運用は「自転車の乗り方」と同じ
 本当のリスクはどこにある?
 投資する前に経済について学ぼう
 インフレになるとお金の価値が下がる
 世の中にはお金が流れるお金の島がある
 5つの島の金融商品の特徴は何か
 4つのステージで投資を考えよう
 運用するお金がない場合には
 世の中のうねりを読むのも教養の一つ
 最もリターンの高い投資とは何か?
 もっとお金について考える機会を


○第6章 お金の維持管理
 なぜ「お金の維持管理」が大切なのか?
 収入にはフロー収入とストック収入がある
 まずはフロー収入を増やそう
 次にストック収入を繕う
 いつの間にかお金がなくなる簡単な理由
 借金の返し方でお金の維持管理能力がわかる
 住宅ローンは繰り上げ返済をするべきか?


○第7章 お金を与えること
 お金は天下の周りもの

 おわりに





■印象に残った事、感じた事

・あなたのお金に関する素養の無さが結果としてあなた自身の首をしめている。そうして、ひとりひとりの教養の無さが1500兆円の資産のうちのたった20%にも満たない資産運用率である。

・車や家の購入は資産を購入することであり、その資産価値も含めた計算は身につけて当然の素養であり、逆にその知識が無ければとんでもな額の損益を被ることがある。

・お金の知識は、攻めるための手段でもあり、お金を守るための手段でもある。サッカーで5点ゴールを決めても10点決められれてしまえば負ける。その当たり前を、私達は基礎学習として学んできていない。これは、非常にリスクに晒された状態で生きている事になる。

・収入をサラリーのみに頼る生き方は今後益々リスキーである。何故なら、そのサラリー元が亡くなった瞬間に稼ぐ力が失われてしまうから。

・こうした、お金の教養の無さに気づかないまま「金稼ぎは汚い」「毎日お金のことばかり考えているなんて醜い」などと、お金を嫌うようになってしまうことが、これからの時代を生きていくことで最もリスクある生き方である。

・とにかくなんでもいいから実際に自分のお金をリスクとして支払って、株の売買を行ってみるなどやってみて、自分のお金を働かせるという感覚を養う。

・結局のところ、自分に対する投資こそが最もローリスクハイリターンである。お金が無ければ時間を投資する。時間の投資とは、本を読み知識を深めること。お金が無ければ図書館でだって時間を使って読むことが出来る。


■感想

 私も業界がバブリーな頃に就業し、何の知識もない状態で多額のお金が舞い込んできた時期もありましたが、その当時は全くお金の素養が無く、遊びやなんやで使い込んでしまいました。失敗であったとは思いますが、過去を悔やんでいても仕方ありませんので、今はサボってきたツケを取り返すために様々な素養を本で身につけている最中であります。

いざ大きな額のお金を手にした時、お金を運用する知識があるかどうかは、何十年も生きる上で必要不可欠な素養であると感じます。しかも学問全般に言えますがどれだけ勉強したって、デメリットにはならない。

現在の教育ではお金についての学問は少ないですし、自分から学ぼうと思わなければなかなか機会はありません。また、親世代も一般家庭や貧困家庭であるほどそうした教育がなされることはありません。

そんな教育の基礎がたった1000円ちょっとの本に詰まっています。実にコスパに優れた良い本です。


また、もう一つ感じたのが、この本の作者が非常に博識であり、例えば当ブログで紹介しておりますDen Fujitaの商法なんかも名前が上がっていたりしており、こうした作者の長年培ってきた知識がこうして「お金の教養」という本を執筆できる土台を作り上げたのだと考えると、非常に感慨深いものが有ります。

つまり、著者が自分自身に「投資」した時間が、こうして形になって「印税」という形でバックされている。それを実現して見せられているわけです。これは非常に感慨深いです。



■まとめ

 私達は就労することの価値観、それによりお金を得る価値観、そうしたものが非常に狭くなるように教育されてきているように感じます。そうした事でアホ(お金の知識に乏しい人)を騙す商売が成り立っていたとも言えるのでしょう。しかし若い世代はお金が無い。金が無くてアホなんてたまったもんじゃない。でも、自分がアホである自覚が持てないと、いつまでも旧来の滅私奉公に染まって少ない賃金なのに、いつまでも一つの就労の場から脱却できず、苦しいままです。

経済のグローバル化が一層進行していく世界で私達若い世代が生きていくにはあらゆるお金の稼ぎ方を知り、お金が何たるかを学ぶなど、お金の教養は必須であると言えます。

人生の時間の2時間程度、この本に割いてみるのも悪くはないと思います。


いやホント。

■関連記事:どうせ死ぬまで付き合うことになるんだからお金についてしっかり考察しよう 




 ところでこれは全部、仕事をやってる上では当たり前なんですよね。それを、生活する上で当たり前に教養として据え置いて考えましょう、って本でして、普段から経営など考えている人にとってはバランスシートの読み方など極めて当たり前のことが書かれているわけです。でも、だからこそ基本に立ち返れる本であります。