20140402
出典:写真素材 足成

 私はデザイン系やら絵を描いたりやらが昔から好きで、趣味の延長で気が付けばその希望に沿った業種に就いておりました。さて、先人達が指摘する「趣味は仕事にしないほうが良い」が何故なのかや、逆に仕事にし続けるためにはどうしたらいいのかを考えてみました。



■趣味と仕事の線引きについて


・趣味…自分が楽しむことが何より大事。自己完結。たとえそれが他人の評価を求めるものであっても、その評価を受ける事で自分が楽しんでいるならば良し。自分の自分による自分のための行為。

・仕事…他人の満足が第一なので、自分の満足度はワリとどうでもいい。自分が満足していても、他人が満足してくれなければビジネスとしては成り立たない(お金が動かない)。他人のために行う行為。

ざっくりとですがこんな感じでしょうか。自分主軸なのか、他者主軸なのか、という所であると思います。


■何故「趣味を仕事にしてはいけない」が通説なのか

 趣味というものは延長上に「好き」があると思います。好きじゃなきゃやりませんよね。では、仕事にするには何が必要か?となれば、自分自身への供給を、他者への供給に切り替えなければならないわけです。夢見る若者が後に後悔したりつまづく要因となるのは、この切り替えがうまくいかないからであると思います。

で、先人達は警告するわけです。「その自覚が無いんなら絶対辛いし後悔するからやめろ」と。でも、上島竜平の如く「やるなよ、絶対やるなよ」と、聞こえてしまうんですね。だから、冷静さの無い人達は大人の挑発と受け取って、そのまま突き進んでしまう。で、その後悔をまた自分達がある程度歳をとったら若い人に伝えるわけです。

で、なんやかんやで通説になっていくと。


■「趣味を仕事に切り替えなくては」という強迫観念に襲われる

 趣味を仕事にしている人は、かっこいいんですよね。または格好良く見える。憧れる存在になる。だから、皆格好良くなろうとして、もがいて、いつの間にか自分を追い詰めてしまう。あんなふうになれない自分はダメな奴だ、と。ところがそうじゃなく、それではただの盲目になってしまうわけです。100人競争相手が居て100人成功することはまず無いわけですね。そこが「趣味や好き」を基準にしていると、抜けてくる。
常に情熱的な自分と冷静な自分を住み分けておく事が、趣味を仕事にする上では必要なのではないかと思います。



■趣味の延長のまま変化出来ない

 こちらは上記と逆で、趣味の本当に延長で続けてしまう人。趣味というのはゴールがいつでも自分の限界で決められるわけです。「まぁ、ここまでやっておけば大丈夫だよね」と。趣味でラーメン屋とかを始める人が失敗するのは「自分に自信を持ってしまっているから」です。

つまりこのタイプが成功に向かうためには、自分のゴールを果てしなく遠くに置きながら、ずーっと自分が修行中の身であれる精神状態が重要になってくるように思います。でも、アーティストの方々と接してきて感じるのは、もしかしたら趣味を仕事にする働き方として一番天井を目指せるのはこのタイプなのかもしれません。なので、自分にその気質があると感じられるのでしたらこの道を進むのはある意味正しいかもしれません。



■趣味が仕事になる時代

最近読んだ「1万円起業」という著書の中では、たくさんスモールビジネスを成功させた人々の体験談を通して、これからのビジネスのあり方について語られていました。起業を考えている方には是非一読をオススメします。


この著書の中で紹介されている方々の多くは、趣味だったり好きでやっていたことを、少し発想を転換させる事でビジネスに転向させることに成功させていました。そうです、趣味がちゃんと仕事になっているのです。

私は、趣味を仕事にしない方が良い、という通説が生まれた理由として、先述した理由とは別の理由として「組織的なビジネス」がこれまでの社会では通説だったからだと思います。つまり、組織に従属する以上は、例えばグラフィックデザイナーとして働く場合、好きなジャンルも嫌いなジャンルも、社員として働く以上はこなさなければならなかった。「仕事をえり好みするなんて偉そうな事言ってんじゃねえ、好きになるんだよ」みたいな観念がいつの間にか当たり前になっていた。

ところが、インターネットが従来のビジネスのあり方、オフィスワークのあり方、時間の概念まで変えてしまった。いまや誰もが何処に居たってビジネスを開始できる。そのインフラが整いつつあるのです。そのインフラのおかげでこれまで繋がれなかった人達同士が、好きな仕事、やりたい仕事に時間的リソースを割いて、より上質な仕事を社会に提供できるようになったわけです。

つまり、自分がイヤな事(ある人にとっては得意な事かもしれない!)を我慢しても仕事はこなさなきゃいけない、という制約が消えつつある今、ようやく趣味を仕事にしても、成り立つ時代がやってきているのです。


いや勿論ビジネスとして成り立たせようとしている人が前提だとは思いますけど。



■趣味は趣味で済ませたい人は

 このエントリの主旨にピンと来ないかもしれません。「趣味でなんでお金やらビジネスやら考えるんだ、そんな息苦しい人生でどうするんだ」と。ですが、考えてもみてください。自分がただ楽しくてやってる趣味が、お金に変わるかもしれないのです。お金は信用のツールであり、時間を購入するツールです。あなたがただのお金を払う消費者から、世の中に価値を生み出す人間に切り替わる瞬間が、少し考え方を変えるだけで生まれるかもしれないのです。会社で給料を稼ぐ以外に、です。それがもしかしたら会社の給料を上回る可能性だってあるのです。

例えば、ドライブ好きな人は、名所をドライブしながら車載動画で録画し、それを後でyoutubeにアップデートするだけで、うまくいけばガソリン代程度は回収できるかもしれませんし、もしドライブ中に希少な出来事に遭遇すれば、もっと稼げるかもしれないのです。

例えばロードバイク好きな人は、ホイールの選び方などを調べつくしてロードバイクオタクになれば、ロードを始めたい人のためのWEBアンテナショップを開設して、少ない拘束時間でインセンティブをもらったり出来るわけです。そのお金で更にレビューが出来たり。

別に何でも良いんです、アイスマン福留さんみたいに、コンビニアイスをひたすらレビューしまくって、いつの間にかコンビニアイス評論家といえばこの人、になって活躍していたり。



■趣味を仕事にした方が稼げる時代になるかも?

 社員として従属するよりも、自分の得意な分野をどんどこ伸ばして、脇目もふらずに突き進むタイプの人の方が結果的により稼げる時代になっていくのではないかと思います。逆に、礼儀だ空気だ組織とはどうだとか仕事はこうあるべきとか、そういう概念ばかりに振り回されて何かしらのプロダクトを生む能力の無い人が、今後は厳しい立場においやられていくのではないかと感じます。



■まとめ

 趣味を仕事にしないほうが良いと言われていたのは、これまでのビジネススタイルには何かと不都合だったから。しかし、現代は様々なインフラが確保され、趣味に突き抜けているギークこそが良質な仕事を生み出す時代に向かっている。で、あれば、あなたの趣味だって突き抜けて仕事にしちゃうほうが、これからの時代には合ってるかも!ただ、突き抜けたいなら常に上昇志向を持ち合わせるのが必要だと思います。

でも、考えてみれば昔から突き抜けてる人は突き抜けてるんですよね。そういった意味では、現代はグっとビジネスに対する裾野が広がったわけなので、より多様性のある生き方を模索してみると楽しいと思います。


いやホント