何か事を起こすとき、何かが起こった時、必ず批判から入る人が居ます。「だから最近の若い人はダメなんだ」「政治家は何も分かってない」「おっさん達に言ったって無駄無駄」何かしらこういう文言が日常に溢れているように思います。私もたまにやっているので気をつけたいです。 

ではこうした批判の心理についてどうした心理状況が生み出している問題なのかを考えてみました。また、基本的に批判はプラスの思考を生むものではないと思っていますので私自身は改善していくべきものであるという観点から考えております。プロセスを分析することで、潜在的に起こる批判の感情を制御できるようになるかもしれません。 

■批判をしたくなる主な感情の理解

批判の気持ちが湧き上がったときに、生まれる感情は以下の物があげられます
・嫉妬
・憤怒
・拒絶
・嫌悪
このほかに付随するものとして、ファッションとしての批判、自分の立ち位置を提示するための批判、一体感を生むための批判、快楽を得るための批判などがあります。この批判の根本に眠るものとは何かと考えてみると…

■批判をすることによる自己アイデンティティの確立

 例えば嫉妬であれば「あいつは金持ちだなぁちくしょー羨ましい!ねたましい!」が本音になるわけですが、それを言ってしまうと恥ずかしい。なので批判する「どうせ汚い金の儲け方をしてるんだろ」と。この裏側には揺らいでしまう精神を安定させようという脳の働きが作用しています。

■批判することで脳のストレスを正常に戻したい

 つまり、お金を持っていない自分を恥ずかしいものだと思っている自分を正当化したい。お金を持っていない自分と持っている彼を比較したときに襲ってくる恥ずかしさや不安感焦燥感を治めるために脳を平静に保つようにしたい。お金を稼ぐ力を持っている彼と、力の無い自分を向き合わせてプライドを傷つけられたくない。

このような様々な負の感情に自分がさいなまれるのを防ぐために、批判という行動に出るわけです。

■批判することによる自己の人間性の発露

 「汚い金儲けしているんでしょ?」という言葉を例にとると、イコールで「私は金儲けは汚い事だと思っている」「私は金儲けする人間を理解する力が無い」「私は汚い金儲けをしたい」「私は他人を理解する器が無い」など色々な事を発信していることになります。批判することで自分の人間性を発露しているわけですが、これの感覚がマヒしてしまうと気付かなくなってしまいます。

■匿名性による批判の容易さ

 ネットでは自分が名前をオープンにしない限りは誰でも匿名の存在になれます。普段面と向かって批判できなくてもネットを使えば簡単に批判できるようになるわけです。超便利ツールです。この匿名性は良い方向にももちろん働いています。

批判は誰かを傷つけたり、対立する方向に論点が行きがちです。和を大事にする日本文化としては暗黙的に避けたい事象になりますから、必然的に匿名性の需要というのは増すわけです。実名登録に重きを置くfacebookが日本ではなかなか浸透しなかったのはこうした側面もあると思います。

■批判はクセになる

 何事もそうですが、同じ考えや行動を繰り返していればやがてそれはクセになります。やがて息をするように批判することが当たり前になっていきます。


■批判は自分を否定することになり、自分の自信をどんどん奪う

 批判を続けて感覚がマヒするほど気付けなくなるのですが、批判すればするだけ自分自身を否定することになっていきます。金持ちを批判する程に、儲けられていない自分の事が惨めになります。

■批判は自分の価値観を固定化させ、狭めてしまう

 若者を批判すればするほど、若者に対するフィルタを作り、価値観を固定化させて目をむけられなくなります。どんなに若い人達が頑張っても「どうせ若い奴の言う事なんか」の一言で終わってしまいます。おっさん達を批判してフィルタを作ることで同様に価値観を固定化させてしまいます。

そうすることで、どんどん価値観が固まり、許容範囲が狭くなり、脳が老化していきます。皆が嫌いな「老害」になります。

■批判し続けた先に幸せは無い

 これが続くことでどんどん狭まる価値観、小さくなる器に悩まされながら、更に誰かを批判することでしかアイデンティティを見出せなくなってしまいます。あなたの近くに居る何でも批判してるイヤだなーと思う人は苦しんでるのかもしれません。

■批判グセを直すには

 クセになってるわけですから、批判しないようにすればいいだけです。批判の反対、いろんな事に共感や理解する努力をしてみる。加えて、自分の自信の無さをカバーするために行ってしまう行動なわけですから、自分の自信の種を育てることも大事になります。この辺は以下の記事にも通じると思いますので一読オススメです。

「嫌い」を捨てて、自分の器を大きく育てよう

■ファッション感覚の批判について

 誰かを批判する事による一体感を楽しんだりする人なども居ます。炎上、要するにお祭り騒ぎに参加して批判することにより快楽を得る手段としている人。これも結局快楽を求め、次の炎上を探し回るうちに徐々に「批判癖」に取り込まれてしまうと思います。

■まとめ

 批判は自己防衛・自分の立ち位置を守るための保守的思考。続けることにより人間としての発展性が無くなっちゃうからやめましょーというものでした。

いやホント。